数理科学コース4年次の伊藤ゆきのさん(山村-Fazeks研究室)が理工学部の留学プログラム「グローバルイノベータ育成プログラム」による留学に参加しました。

伊藤さんはスロバキアのComenius Universityに3か月滞在して機械学習などの授業やセミナーを受講して卒業課題研究も実施しました。

伊藤さんの報告

 私は2022年10月17日~2023年1月11日までの3カ月、スロバキア、ブラチスラバにあるコメニウス大学のmathematics, physics and informatics 学部に日本学生支援機構(Jasso)の留学支援プログラムを利用して留学しました。
 3カ月間大学の寮で、ボスニアとスロバキア出身のルームメイト2人の3人部屋で過ごしました。
 コメニウス大学にはたくさん学部があり、学部によってキャンパスの場所も違います。私が留学したmathematics, physics and informatics は寮から徒歩15分くらいの場所にあったので歩いて通学していました。mathematics, physics and informatics学部の中には、食堂、カフェ、図書館、自習室だけでなく、ハンモックやソファがありゆっくりできたり、ゲーム用のパソコン、庭には大きなチェス盤があり色々なことができました。授業は、現地についた日の翌日からセミナーを受けました。

授業
  • introduction to computational intelligence
  •  マスターコースのセミナーが週2回で行われ、2人の先生がセミナーをしてくれた。先生がスライドを映して進めていく形で、動画やシミュレータを使って詳しく説明もしてくれた。
     内容としては、AI、回帰分析、確率論、クラスタリングなど機械学習に関係していることを学んだ。秋田大学で学んだ内容もあったので内容としては難しくない印象だったが、やはり英語だったため、言っていることの雰囲気は分かるが全部を完璧に理解することはできなかった。セミナー中は、質問や意見があったらその場ですぐに聞き、みんな理解できたら次のトピックに移っていく感じで進めていく。生徒と先生間で話し合うだけでなく生徒同士で考えを深めていくこともあり、1人が質問したら先生だけでなくクラス全員が意見を出し合うこともある。その日のトピックに関することだけではなく、以前扱ったトピックとの関連性など、些細なことでも質問していた印象だ。

  • introduction to cognitive science
  •  これもマスターコースのセミナーで、ロボットやモデリングについて学ぶ内容だった。今まで勉強したことない内容だったため、聞いたことのない単語が沢山出てきたし、授業で扱うトピック量も多くintroduction to computational intelligenceと比べるとかなり難しかった。

  • linear coding
  •  これもマスターコースの授業でした。5週遅れくらいで受講したうえに、勉強したことない内容だったため授業内容を理解するまでかなり時間がかかった。予習をしっかりしていけば授業内容の7割くらい理解できた。内容はとても面白かった。

  • probability measure and mathematical statistics
  •  この授業は、教科書を読んで各自で勉強する感じでした。12月くらいにテストがあって教科書の問題に似ている問題が出題された。自分でデータを探して分散や標準偏差、信頼区間などを計算する内容の課題と、教科書の内容と課題に関する口頭試問も課された。ペーパーテストと課題は難しくなったが口頭試問が覚えることも多く、かつ英語で伝えることが本当に大変だったが、どうにか伝えようと諦めずに説明した。先生も優しく、伝えたいことをくみ取ってくれ良い評価ももらえた。

寮生活

 寮費は最初にデポジットとして約160€、加えて月に約55€現金で払っていた。寮にはゲートがあり、専用のカードキーがないと入れない。またゲートには24時間監視してくれる人がいるため、外からのセキュリティは万全だった。
 スロバキア出身とボスニア出身の2人と3人部屋で過ごした。部屋にはベッド(ベッド下に収納あり)、机、タンスみたいな収納がそれぞれ3つずつ、冷蔵庫が1つ、洗面台1つ、Wi-Fiがあった。小さいキッチンとトイレとシャワーはワンフロア(20~30人くらい)で共用していた(寮によっては4~6人で共用するところもある)。週4日くらいで清掃してくれた。
 ご飯は、近くのスーパーで買って食べるか、寮にある2つの食堂で済ませていた。祝日やホリデー以外毎日朝から晩まで営業していて、朝ご飯は0.9€~1.5€、昼と夜は2€~3€くらいの値段で食べられる(ISICがないと5€かかる。ISICとは国際学生証のことで私は現地で発行し、2週間くらいで発行できた)。コカコーラよりスロバキアのオリジナルコーラの方が人気らしく食堂にサーバーがある。

 寮にはコインランドリーがあり洗濯機、乾燥機それぞれ1回2.75€で使える。ボクシング、ムエタイができるジムがあったり、留学生の交流場所、勉強スペース、ベッドシーツ等を週一回変えてくれるサービスもある。

交流

 9月の学期初めにwelcome party というイベントが1週間毎日あるが私が行ったときは授業が始まってから4,5週経っていたため参加できなかった。コロナ前よりは減ったそうだが月1回はボーリングやシティーツアーなど何かしらのイベントがある感じだった。コメニウス大学以外にも、スロバキア内の学校主催のイベントや、一般の人主催のイベントがあり、参加したければSNSでチェックして自分で申し込む形になる。私もコメニウス大学の学生団体主催の他の国の料理を食べるというイベントに参加した。他にも友達とウィーンに遊びに行ったり、クリスマスマーケットに行った。

[感想]

 入学当初からずっと留学をしたいと思っていたがコロナになり、あっという間に4年生になっていた。楽しいことばかりではなく辛いときもあったが沢山の価値観に触れ、英語でコミュニケーションをとれたことで自信がつきこれからのモチベーションにもなった。卒業課題研究はスロバキアで勉強したことをもとに、英語で行った。4年の後期から留学に行くのも少し不安があったが、スロバキアで出会った人含め、先生、学務、家族の支えのおかげでとてもいい経験になった。本当にありがとうございました。

 

京都大学数理解析研究所で開催されたRIMS拠点事業「群・環・言語と計算機科学の周辺領域」(2023年2月15-17日開催)において 黄新昊さん(山村-Fazekas研究室M2)と深浦晴輝さん(山村-Fazekas研究室M1)が研究発表を行いました。

RIMSプログラム2023

黄新昊
発表の概略:
今回のRIMSでWord Reconstruction Problemにおける試みる研究について発表しました。最初のWord Reconstruction問題から、特定なサブワードの出現回数を利用して Improvement problemを導入しました。既存の2つ研究方向を紹介し、オリジナルなサブワード選択方法、Mirror wordsを使って、一部の成果を発表し、今後の研究目標も紹介しました。

感想:
現地でRIMS共同研究に参加し、研究者の方々の発表を伺って、プレゼン時の表現、発表時間のコントロールなど様々なところ、非常に勉強になりました。そして、今回言語分野の発表について、Potapov氏の発表中ワード間距離の定義や結晶構造の予測について興味深いことです。Meduna氏のGrammars with context conditionsについてのプレゼン、何種類のGrammarsやGrammarsの関係を紹介し、とても感銘を受けました。他分野の発表も聴講して良かったので、今回の経験を生かして、今後の集会に内容や説明の仕方の工夫を凝らそうに努力します。


深浦晴輝
発表概要:
Geometry of Defining Relations in Groups (Ol’shanskii著) の自由Burnside群に関する内容を簡単に紹介した。自由Burnside群とその表示を定義し、Burnside問題とNovikov-Adianの定理を紹介した。群のdiagramとvan Kampenの補題、あるdiagramを持つ群のクラスを紹介し、その性質を示した。最後にそれらを用いて自由Burnside群のいくつかの定理を証明した。

感想:
前回のRIMSでの発表はオンラインだったため、対面での発表は今回が初めてでした。発表中に指摘や質問を受けても応対出来るよう、入念に準備をすることが重要であることを実感しました。また発表後に受けた英語の質問の応答に苦戦し、自身の英語力の無さを痛感しました。他の方の発表では、群やそれ以外の代数構造における様々な問題と、それに対する様々な手法を知ることができ、特に語の組合せ論に関する多くのことを学ばせて頂きました。今回のRIMSで得ることができた知識を活用し、自身の研究を進めていきたいと考えています。

佐藤優樹さんが国際研究集会ICICT2023にて研究発表を行いました。

8th International Congress on Information and Communication Technology(2023年2月20-23日開催)参加報告

感想:
使用電力が再生可能エネルギーであることを証明する再生可能エネルギー証明書の発行、管理をBlockChainを用いて分散化させた方法について発表しました。前回のポスター発表の失敗を踏まえて発表原稿の準備に時間をかけました。また発表後質問を頂けました。しかし聞き取る事ができず、答える事ができませんでした。英語を聞き取ることは少しは自信があったのもあり、心残りがある終わり方になってしまいました。英語の訓練は今後継続的に行おうと決意しました。他の方の発表は現地時間でのタイムテーブルであったため全ては聞けませんでした。私のグループの方々は環境問題に向けて様々な技術を用いてアプローチを行なっていました。正直理解はできませんでしたが、いろいろな技術がたくさんの可能性を持つことを知る事ができました。
https://icict.co.uk/

佐藤優樹

国際研究集会 「The 6th International Symposium on Mobile Internet Security」における研究発表報告:佐藤優樹さん(山村・Fazekas 研究室)

The 6th International Symposium on Mobile Internet Security (Mobisec 2022)は2022年12月15日-17日の3日間、韓国の済州島の Jeju Oriental Hotelで開催されました。

1日目(12月13日)
秋田空港から羽田空港に向かい、そこで一泊しました。

2日目(12月14日)
羽田空港から、ソウルの金浦国際空港(キンポこくさいくうこう)に向かいそこから乗り換えて済州国際空港へ渡航しました。
15:55に出発し、22:00に到着しました。

済州国際空港

その後ホテルにチェックインしました。

3日目(12月15日)
朝に学会の会場に徒歩で向かい、参加しました。

学会感想:
印象に残った発表は Fang-Yie Leu 氏による「 Security Mechanisms for Data Transmission among B5G/6G Networks 」
でした。5Gを初めとする最新の通信規格に必要なセキュリティ要件についてや、通信に用いている暗号技術を知れました。
知識の無い自分でもある程度理解することができ内容は勿論、発表の方法についても学びを得ることができました。

学会会場学会の雰囲気鮑の炊き込みご飯とウニスープサムギョプサル

4日目(12月16日)
夕方のセッションで「Renewable Electricity Certificates using Smart meters and BlockChain」という題目でポスター発表をしました。初めての英語で発表ということもあり、とても緊張しました。

発表概略は以下です。
昨今、世界的に脱炭素に向けて、再生可能エネルギーの利用が進められており、ここで重要になってくるのが使用する電力が再生可能エネルギーであることを証明することです。しかしその証明に第三者機関が証明書を発行、認可しているのが現状です。ここで第三者機関が証書を利用する人のデータを流出させるような不正が行えてしまう問題点を指摘し、その解決のためにスマートメータとブロックチェーンを用いて再生可能エネルギーを証明する証書の発行及び検証、管理を行うモデルの提案をしました。

学会感想:
発表を行いました。発表原稿を見ながらの発表になり、ポスターを見にきてくれた方を気にすることができませんでした。発表を終えた後、韓国での僕の研究に関連する事例を教えていただきました。頂いた質問はどのように実装するかについてで、自分はそのような知識を持っておらず今後の研究に必要な知識を確認できました。印象に残った発表は Hoseok Kwon 氏の「 Blockchain Applied 5G Authentication and Key Agreement Evaluation 」です。5G通信に必要なデータの管理にブロックチェーンを用いたものでした。ブロックチェーンはさまざまな分野での応用が期待されているもので、その応用先を考えるためにはブロックチェーンだけではなく様々な知識をつける必要があると感じました。

ポスターセッション夜のバンケット

5日目(12月17日)
学会が午前中に終了し午後から夜にかけて済州を散策しました。済州は大きく分けて旧済州と新済州に別れており、午後は旧済州、夕方は新済州を散策しました。

学会感想:
印象に残った発表は ChangHyun Roh 氏による「 A Study on PLC Data Integrity Verification Using Private Blockchain 」でした。題目からは自分の研究との関連性を感じましたが、発表を聞いてみると実装のしやすさ等、全く違う着眼点で研究を行っており、ブロックチェーンについての新たな視点を知ることができました。
新済州太刀魚の煮込み学会会場付近の海

6日目(12月18日)
この日に帰国する予定でしたが雪のため済州からソウルの金浦国際空港への飛行機が遅れ、羽田空港行きの飛行機への乗り継ぎに失敗しました。遅延したフライトの待機時間にチケット等の変更を行い、結果この日はソウルのホテルで過ごしました。

ソウル駅ソウル市街地

7日目(12月)
夜のフライトで羽田に向かうため、それまでホテル周辺を散策しました。また帰国後東京のホテルで一泊しました。

祟礼門屋台のトッポギ

8日目(12月19日)
朝に東京から秋田に戻りました。

【感想】
学会ではセキュリティについての発表を聴講しました。特に5G、ブロックチェーンについての内容はどれも興味深いものでした。全ての発表を通して感じたのは皆さんの英語力の高さです。研究を行う上で英語力を上げる重要性を感じました。また自分の発表については実際に発表をすることで準備の足りなさを実感しました。実際に発表の練習をさらに行い、様々な人からの意見を得た上で発表する必要性を強く感じました。今回の学会でどのような発表がわかりやすいかを学べたのでそれを踏まえ、今後に活かしたいと思います。海外の発表はもちろん、渡航も初めてで全てにおいて緊張しましたが、大変貴重な経験ができました。今回の渡航で一番印象に残ったのは飛行機の乗り継ぎができなかったことです。トラブルが起きても落ち着いて情報を整理する重要性を学びました。本学会参加にあたり、研究室の先生や友人には多くのご協力をいただきました。本当にありがとうございました。

佐藤優樹さん(山村・Fazekas 研究室)が国際研究集会 「The 6th International Symposium on Mobile Internet Security」において発表をおこないました

山村・Fazekas 研究室の佐藤優樹さん(M2)が、2022年12月15, 16,17日に済州島(韓国)で開催された研究集会「The 6th International Symposium on Mobile Internet Security」にてブロックチェーンの再生可能電力証明書への応用に関する研究についてポスター発表を行いました。

基研研究会・iTHEMS研究会 2022「格子上の場の理論と連続空間上の場の理論」参加報告(理論物理学研究室 湯本純)

博士後期課程2年の湯本です。標記の研究会にて「グラフ理論と位相不変量に基づくdoublerの最大個数についての考察」というタイトルで口頭発表を行いました。

 当研究会は、格子上の場の理論に関する近年の理論的進展を主たるテーマとして、格子上の場の理論と連続時空上の場の理論の関係を理解することを目的に企画された研究会となります。開催日程は7/19-22の4日間で、対面で行われました。
https://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~lattice-qft2022/home.html

発表概要については以下の通りとなります。
 格子ゲージ理論において、ダブリング問題はNielsen・二宮のno-go定理により定式化されている。しかし、離散化された一般次元多様体上におけるfermion自由度(doubler)の最大個数は、このno-go定理では説明することができない。したがって、離散化された一般次元多様体上におけるdoublerの最大個数について言及する新たな定理の構成が必要不可欠となった。この新たな定理の構成に向けた議論として、今回の発表では、(1)グラフ理論から着想を得た新たな格子Dirac演算子の解析方法、及びdoublerの個数が格子Dirac演算子の退化次数であることを説明する。(2)位相不変量であるBetti数に着目した新たな定理の予想とその考察について議論していく。

数理科学コースの4年次 伊藤ゆきのさんが10月17日から中欧のスロバキア(Comenius University)における留学を開始しました。

数理科学コースの4年次 伊藤ゆきのさん(山村・Fazekas 研究室)が理工学部の留学プログラム「グローバルイノベータ育成プログラム」に参加して10月17日から2023年1月中旬まで中央ヨーロッパのスロバキア(Comenius University, Faculty of Mathematics, Physics and Informatics)における留学に出発しました。
伊藤さんはスロバキアのブラチスラヴァに3か月滞在してデータサイエンスコースの授業科目を英語で受講して、伊藤さん自身のデータサイエンスに関する研究を進める計画です。研究活動のみならず、現地の友人を作りヨーロッパの文化を学んでさまざまな経験を積んで成長してくれると考えています。


 
 

数理科学コースの4年次 佐藤龍之介さんが6月から北米のカナダ(Memorial University of Newfoundland)における留学を開始しました。

数理科学コースの4年次 佐藤龍之介さん(山村・Fazekas 研究室)が秋田大学の派遣交換留学プログラムに参加して6月から2023年5月まで北米のカナダ(Memorial University of Newfoundland)における留学に参加しています。
佐藤さんはカナダのセントジョンズに約1年滞在してコンピュータサイエンスの授業科目を英語で受講する計画です。
勉強の他にも大学の寮のイベント(サバイバルゲーム)に参加したり、友人と共に1762年9月15日にイギリス兵がフランス兵を制圧したことがきっかけでフランスがイギリスに降伏した場所としても有名な名所の一つのSignal Hill National Historic Siteを訪れたりしています。


 

令和3年度成績優秀者表彰

令和3年度の成績優秀者を次の通り表彰しました(以下、学籍番号順、敬称略)。

北光会賞受賞

  • 4年次 深浦 晴輝

 北光会賞受賞者は、成績が優秀だった4年生の中からコース推薦された学生です。

数理科学コース成績優秀者

  • 4年次 深浦 晴輝
  • 2年次 齊藤 祐吾

数理科学コースでは毎年度、2年次および4年次の後期までの通算成績が優秀だった学生が成績優秀者として表彰され、次年度の在学生ガイダンスの際に表彰状と副賞が贈られます(4年次生が就職または他大学院へ進学の場合は年度末に贈呈)。

各位のさらなるご健闘を祈ります。

 

今野咲彩さん、田口輝希さん、黄新昊さん、深浦晴輝さん(山村・Fazekas 研究室)が研究発表をおこないました

山村・Fazekas 研究室の今野咲彩さん(M2)、田口輝希さん(M1)、黄新昊さん(M1)、深浦晴輝さん(B4)が、2022年2月16,17,18日に京都大学数理解析研究所で開催された研究集会「論理・代数系・言語と計算機科学の周辺領域」にて研究発表を行いました。
それぞれの研究成果を発表し、他大学の研究者とともに意見交換を行いました。

今野咲彩さんは、「Left simple and left cancellative semigroups without idempotents」のタイトルで英語で発表を行いました。

発表の概略:
Left simpleでleft cancellative(right simpleかつright cancellative)な半群の構造はまだ明らかになっていないという事実を受け、その性質を持つ半群を構成しました。全射で任意の逆像の濃度が無限濃度となる写像を元とするidempotentを持たない半群を構成し、それがLeft simpleでleft cancellativeであることを発表しました。1932年にR.BaerとF.Leviが、単射の写像を元とするidempotentを持たない半群(Baer-Levi半群)を構成しており、それと同型であるかどうかの確認が現在直面している困難となっています。

田口輝希さんは、「Correspondence between down-up alternating permutations and increasing 1-2 trees」のタイトルで発表を行いました。

発表の概略:
encoding sequenceを用いたdown-up alternating permutationとincreasing 1-2 treeの対応関係の証明や具体例、アルゴリズムを、Euler number、Entringer number、Entringer familyとの関係を交えつつ紹介した。また、そこから発展するこれからの研究目標も紹介した。

黄新昊さんは、「Slightly Improved Dynamic Algorithm for LIS」のタイトルで発表を行いました。

発表の概略:
今回のRIMSで最長増加部分列に対する近似アルゴリズムをテーマに発表しました。LIS問題とDynamic Settingの定義から、既存の近似アルゴリズムと近似問題Extended Grid Packing問題を紹介し、新たな近似度が高い方法を導入しました。そして、再帰的データ構造を用いてLISの近似解を計算します。これからは、新しい方法についてのUpdate Timeなどを確認して、アルゴリズムを練り直します。

深浦晴輝さんは、「Diagrams over groups and small cancellation conditions」のタイトルで発表を行いました。

発表の概略:
発表の内容は、Ol’shanskii著, Geometry of Defining Relations in Groupsの最初の方をまとめたものである。最初に帰結の導出の可視化であるdiagramの例を挙げて定義を述べたあと、帰結とdiagram の対応を述べたvan Kampenの補題を紹介した。次に表示の制限であるスモールキャンセル条件を導入し、それがdiagramにどう作用するかを説明し、ある程度強い条件満たすときのdiagramの特徴を述べた定理の証明を簡単に紹介した。最後に群のword problemを紹介し、スモールキャンセル群のword problemを解くDehnのアルゴリズムを構成した。

参加・研究発表の感想:
今野咲彩
私は学会で数学の内容を発表したことは初めてで、研究者の方々に向かって発表するのはとても緊張しました。毎日の活動では現在直面している困難にばかり目を向けていましたが、発表を通して研究の出発点に目を向ける必要性を感じました。そもそもなぜLeft simpleでleft cancellativeな半群の構造は研究されてこなかったのか、構成したものは予想と照らしてどうだったのか、idempotentがあるとどうなるのかなどの質問を受けました。研究の土台や基礎の部分に目を向けて修士論文を書き上げたいと思いました。発表者の中で、自分が留学に行った際にお世話になった先生や、秋田に留学しに来ていた方もおり、研究集会の中で交流ができたことや、半群論に関する研究発表を聞いて理解できる部分があったことは嬉しかったです。
田口輝希
発表した感想としては、初めての研究発表、それもオンラインということで、スライドの準備や表現、時間の調整や発表練習もとても大変で本番も緊張したが、いい経験になった。発表時間に対し内容を詰め込みすぎてしまったので、次回の研究発表の際はその点に気を付けたい。他の発表者の講演を聞いた感想については、自分の理解できる内容、複雑な内容等様々だったが、全体を通して発表そのものの流れやスライドの作り方などの参考になる部分が多く、これからの発表で取り入れていきたいと思った。今回は日本語での発表になったが、英語での言い回しや表現を学び、次回は英語で発表ができるように努力したいと思う。
黄新昊
初めてRIMS共同研究に参加しましたので、論理・代数系の発表を伺うことができ、大変勉強になった。この発表を通して、限られた時間の中で自身の研究成果を他者に分かりやすく説明することの難しさを実感することができ、とても良い経験になったと思います。また、他の人の発表や質問からで自分にはない考えを得ることができたことも、見つかったことも大きな成果だったと思います。
今後ともこの貴重な場に参加できるよう研究に励み、自分の説明能力を上昇し、そして、様々な考えや意見をいただいたことが発表会での大きな収穫でありました。
深浦晴輝
今回の発表は自分にとって初めての学術発表であり、大変多くのことを学ばせていただきました。発表後、スライド内の図について質問を頂きました。図の制作には力を入れていたので、触れていただけて嬉しかったです。同じ本を読んだという方からは、より深い内容で補足のコメントを頂き、非常に勉強になりました。他の方の発表では、数名がword problemについて触れていました。自分が学んでいる内容が実際に有名なものであることが実感でき、全く異なるアプローチを知ることができて理解を深めることができました。今読んでいる本の内容を今後研究していく上で、大きなモチベーションとなりました。今回、このような貴重な体験をさせていただけたことを感謝しております。