実施日時:令和元年10月28日(火) 14:25〜 14:55
実施場所:理工学部7号館209室
担当者:田沼 慶忠
秋田県立能代高等学校の1年生12名の生徒が、学部訪問で数理科学コースへ見学に来てくれました。
物体の落下運動や電気回路といった簡単な例を題材に、微分と速度・電流の関係や、物理における考え方について一緒に学びました。「数学Ⅱ」や「物理基礎」をまだ学習してませんが、辛抱強く説明を聞き、質問に答えてくれました。
秋田大学理工学部 数理・電気電子情報学科
10/25-27に新潟県少年自然の家(新潟県胎内市)で開催された新潟・山形地区素粒子論グループ第24回合宿研究会にて,本コース理論物理学研究室三角グループ博士前期課程2年,小原賢君,塚本尚輝君が口頭研究発表を,同1年湯本純君がポスター研究発表を行いました.この研究会は新潟大学,山形大学,秋田大学,東北大学,上越教育大学の素粒子論分野の教員・学生40名ほどが参加する合宿型研究会です.
小原君は「摂動を加えた系におけるゲージ・重力対応」と題して,ゲージ・重力対応の最も重要な例であるAdS/CFT対応(反ドジッター時空/共形場理論対応)が,それぞれの理論に摂動を加えた場合にも成り立つか否かという問題を議論しました.1次の摂動計算について一致が確認された先行研究について紹介した後,2次以上の摂動についても対応を確認する手法を提案し,特に量子もつれエントロピーに基づく比較法について考察を加えました.
塚本君は「場の量子論におけるゼータ関数正則化の妥当性について」と題して,場の量子論の発散量を扱う際のリーマンゼータ関数正則化の有効性をラマヌジャン総和法とベルヌイ数の観点から考察し,ディリクレ境界条件下の一般次元カシミールエネルギーの計算においてそれを確認しました.また,ねじれた境界条件下においてもゼータ関数正則化とラマヌジャン総和法の一致を示すための計算を行いその結果を示しました.
湯本君は「ニールセン・二宮の定理とドメインウォールフェルミオンの再考察」と題して,格子上で場の量子論を記述する際に生じるフェルミオン・ダブリング問題とその位相幾何学的定式化であるニールセン・二宮のno-go定理を紹介し,その解決法であるドメインウォールフェルミオンについて「対称性で守られたトポロジカル相(トポロジカル絶縁体)」の観点を取り入れて考察しました.また4次元トーラス以外の時空上に格子フェルミオンを定義してダブリング問題を解消する手法を議論しました.
10月24日(木)と10月25日(金)に神奈川大学の松田直祐助教に数学基礎論(証明論・計算論)の入門的な講演を行ってもらいます.
学部生の方も奮ってご参加ください.なお,24日と25日で教室が異なりますのでご注意ください.
題目: 証明論・計算論入門
内容:
以下の3部に分けて,証明論・計算論の導入をする.
証明論とは,数学の証明などの論証を形式化し,その形式体系を研究する学問である.
本講演では,構成的な数学の証明の中で用いられる直観主義論理と呼ばれる論理について説明し,その論理の形式化について解説する.
計算論とは,「計算とは何か」という問いに対する研究である.
「計算」という概念に対する数理モデルは様々なものが提唱されているが,本講演では現在関数型プログラミング言語の基礎となっているラムダ計算という計算モデルを紹介する.
証明と計算の間には,Curry-Howard対応と呼ばれる関係が知られており,現在ではこの関係を利用してプログラミング言語を利用して数学の証明の支援などが行われている.
本講演では,Curry-Howard対応について簡単な紹介を行う.
題目:束縛変数回避入門
内容:
ラムダ計算の計算を実装する際に考慮するべき問題の一つに,束縛変数をどのように扱うべきかという問題がある.
本講演では,束縛変数の問題を回避するためのいくつかのアイディアを紹介する.
特に,コンビネータという定数を用いる手法を中心に解説する.
8/22, 23(木・金)に秋田大学手形キャンパスで開かれた電気関係学会東北支部連合大会において「Automata with Jumping Mode(ジャンプ機能付きオートマトン)」というタイトルで、Student Session部門で発表を行いました。発表内容としてジャンプ機能付きオートマトンの機能と受理能力を説明しました。
発表の感想として、図を多用したことでジャンプ機能付きオートマトンの機能や従来のオートマトンとの違いを聴衆に伝えることができたと思います。その一方で受理能力に関する定理や補題の説明がやや抽象的であったため、ジャンプ機能付きオートマトンの受理能力が伝わりにくかった印象を強く感じました。次に発表する機会があるときはこの点を注意したいと思います。
Student Session部門の感想としては、電気系や機械系、生物系などの様々な分野の発表がありました。専門外の内容がほとんどでしたが、スライド作りや英語のスピーチの仕方で参考になったところがあったので、非常に有意義でした。今回の経験を今後の発表に活かしていきたいと思います。
山村研究室 星魁人