第66回「原子核三者若手夏の学校」参加報告(理論物理学研究室 湯本 純)

博士後期課程1年の湯本です。標記の研究会にて口頭発表を行いました。

原子核三者若手夏の学校とは、毎年夏に開催される素粒子・原子核・高エネルギー各分野専攻の大学院生を対象とした1週間程度の滞在型研究会です。今年は昨今の状況により、2021/8/6-10にオンライン上での開催となりました。
http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~sansha.wakate/school2021/index.html

発表概要

今回の夏の学校では、「Spectral graph theoryを用いた格子Dirac演算子の新たな解析法」と題して、三角樹弘氏(近畿大)との共同研究の内容を発表しました。これまでの研究でspectral graph theoryから着想を得た新たな格子fermionの解析方法を確立し、この解析方法は次のステップの研究に有用であることを示すことができました。今回の発表では、この解析法によって得られたnaive fermionとWilson fermionの結果は従来の結果と無矛盾であることを示し、さらに中身の詰まった4次元球体上における格子fermionの解析結果を発表しました。

講演スライドの「Background と Table of Contents」

夏の学校参加についての所感

夏の学校への参加は、今回で2回目になります。前回は私が博士前期課程1年の時で、当時は発表できる内容などありませんでしたので、友達作りの良い機会という軽い気持ちで参加しました。前回は現地開催だったため、他大学の学生と寝食を共にし、対面による講義や学生の口頭発表及びポスター発表、さらに囲む会と呼ばれる対面での交流の機会がありました。そこでは夜分遅くまで、年の近い学生と物理学に関する議論だけにかかわらず、同じ学生としての共通の話題で話が弾むこともありました。この研究会を通じて、現在でも連絡を取り合い、自主ゼミを行ったりする友人も作ることができ、私の大学院生活の中で大きな影響を与えてくれた有意義な研究会でした。

今回は昨今の状況もあり夏の学校史上初のオンライン開催でしたが、オンラインによる懇親会なども用意してくださったので、前回と同様に学生同士の交流が盛んにあり、私も他校の先輩や後輩の知り合いを新たに作ることができました。今回は有難いことに発表できる程度の研究内容もあり、口頭発表を行うことができました。発表後も興味を持たれた方から質問や疑問をいただき、今後の研究の良い刺激、また新たなインスピレーションを得ることができました。

今回はオンライン開催ということもあり、学部生や修士課程の学生の参加が多く感じられました。同期の学生の発表や交流、また今後の研究の刺激にもなる貴重な研究会ですので、皆さんもぜひ参加してみてはいかがでしょうか。