10/25-27に新潟県少年自然の家(新潟県胎内市)で開催された新潟・山形地区素粒子論グループ第24回合宿研究会にて,本コース理論物理学研究室三角グループ博士前期課程2年,小原賢君,塚本尚輝君が口頭研究発表を,同1年湯本純君がポスター研究発表を行いました.この研究会は新潟大学,山形大学,秋田大学,東北大学,上越教育大学の素粒子論分野の教員・学生40名ほどが参加する合宿型研究会です.
小原君は「摂動を加えた系におけるゲージ・重力対応」と題して,ゲージ・重力対応の最も重要な例であるAdS/CFT対応(反ドジッター時空/共形場理論対応)が,それぞれの理論に摂動を加えた場合にも成り立つか否かという問題を議論しました.1次の摂動計算について一致が確認された先行研究について紹介した後,2次以上の摂動についても対応を確認する手法を提案し,特に量子もつれエントロピーに基づく比較法について考察を加えました.
塚本君は「場の量子論におけるゼータ関数正則化の妥当性について」と題して,場の量子論の発散量を扱う際のリーマンゼータ関数正則化の有効性をラマヌジャン総和法とベルヌイ数の観点から考察し,ディリクレ境界条件下の一般次元カシミールエネルギーの計算においてそれを確認しました.また,ねじれた境界条件下においてもゼータ関数正則化とラマヌジャン総和法の一致を示すための計算を行いその結果を示しました.
湯本君は「ニールセン・二宮の定理とドメインウォールフェルミオンの再考察」と題して,格子上で場の量子論を記述する際に生じるフェルミオン・ダブリング問題とその位相幾何学的定式化であるニールセン・二宮のno-go定理を紹介し,その解決法であるドメインウォールフェルミオンについて「対称性で守られたトポロジカル相(トポロジカル絶縁体)」の観点を取り入れて考察しました.また4次元トーラス以外の時空上に格子フェルミオンを定義してダブリング問題を解消する手法を議論しました.