学生の研究成果

深浦晴輝君(山村研究室・修士2年)が論文「 Sphericity of the Standard Presentation of Fibonacci Group」を発表しました

2023年2月に開催された研究集会「群・環・言語と計算機科学の周辺領域」において講演した内容をまとめたもので、深浦君の研究をまとめた内容です。

Sphericity of the Standard Presentation of Fibonacci Group
Haruki Fukaura, Akihiro Yamamura
数理解析研究所講究録 2265巻 (2023) pp. 15-19

佐藤優樹君(山村研究室・2023年3月修士課程修了)が論文 “Decentralised Renewable Electricity Certificates Using Smart Meters and Blockchain” を発表しました。

Lecture Notes in Networks and Systems Vol.693 (2023) pp.983-990

2023年2月に開催された国際研究集会「International Congress on Information and Communication Technology」において講演した内容をまとめたもので、再生可能エネルギーへのブロックチェーンの応用に関する研究をまとめたものです。

日本物理学会2023年春季大会にて口頭発表を行いました。(理論物理学研究室 湯本純)

理論物理学研究室に所属している博士後期課程3年の湯本です。
3/22-25に開催された日本物理学会2023年春季大会にて「位相幾何学的視点に基づいた格子フェルミオンの最大個数に関する予想」という題目で口頭発表を行いました。
本学会はオンライン形式で開催されました。

沖縄で開催された「計算物理 春の学校2023」にてポスター発表を行いました。(理論物理学研究室 湯本純)

理論物理学研究室に所属している博士後期課程3年の湯本です。
計算物理 春の学校2023」にて「グラフ理論に基づいたLattice fermionとLaplacian operatorとしてのWilson term」というタイトルでポスター発表を行いました。
本研究会は、ハイブリッド形式で3/13-15日の3日間開催されました。

私が発表したポスターの内容については研究会HPにて公開されていますので、そちらをご確認ください。

ヨハネス・グーテンベルク大学マインツにおける国際研究会「Novel Lattice Fermions and their Suitability for High-Performance Computing and Perturbation Theory」において招待講演を行いました。(理論物理学研究室 湯本純)

理論物理学研究室に所属している博士後期課程3年の湯本です。
標記の国際研究会「Novel Lattice Fermions and their Suitability for High-Performance Computing and Perturbation Theory」にて「Lattice fermions based on graph theory and a new conjecture about species doubling」という題目で招待講演を行いました。
本研究会は、対面で3/6-10の5日間開催されました。

京都大学数理解析研究所で開催されたRIMS拠点事業「群・環・言語と計算機科学の周辺領域」(2023年2月15-17日開催)において 黄新昊さん(山村-Fazekas研究室M2)と深浦晴輝さん(山村-Fazekas研究室M1)が研究発表を行いました。

RIMSプログラム2023

黄新昊
発表の概略:
今回のRIMSでWord Reconstruction Problemにおける試みる研究について発表しました。最初のWord Reconstruction問題から、特定なサブワードの出現回数を利用して Improvement problemを導入しました。既存の2つ研究方向を紹介し、オリジナルなサブワード選択方法、Mirror wordsを使って、一部の成果を発表し、今後の研究目標も紹介しました。

感想:
現地でRIMS共同研究に参加し、研究者の方々の発表を伺って、プレゼン時の表現、発表時間のコントロールなど様々なところ、非常に勉強になりました。そして、今回言語分野の発表について、Potapov氏の発表中ワード間距離の定義や結晶構造の予測について興味深いことです。Meduna氏のGrammars with context conditionsについてのプレゼン、何種類のGrammarsやGrammarsの関係を紹介し、とても感銘を受けました。他分野の発表も聴講して良かったので、今回の経験を生かして、今後の集会に内容や説明の仕方の工夫を凝らそうに努力します。


深浦晴輝
発表概要:
Geometry of Defining Relations in Groups (Ol’shanskii著) の自由Burnside群に関する内容を簡単に紹介した。自由Burnside群とその表示を定義し、Burnside問題とNovikov-Adianの定理を紹介した。群のdiagramとvan Kampenの補題、あるdiagramを持つ群のクラスを紹介し、その性質を示した。最後にそれらを用いて自由Burnside群のいくつかの定理を証明した。

感想:
前回のRIMSでの発表はオンラインだったため、対面での発表は今回が初めてでした。発表中に指摘や質問を受けても応対出来るよう、入念に準備をすることが重要であることを実感しました。また発表後に受けた英語の質問の応答に苦戦し、自身の英語力の無さを痛感しました。他の方の発表では、群やそれ以外の代数構造における様々な問題と、それに対する様々な手法を知ることができ、特に語の組合せ論に関する多くのことを学ばせて頂きました。今回のRIMSで得ることができた知識を活用し、自身の研究を進めていきたいと考えています。

佐藤優樹さんが国際研究集会ICICT2023にて研究発表を行いました。

8th International Congress on Information and Communication Technology(2023年2月20-23日開催)参加報告

感想:
使用電力が再生可能エネルギーであることを証明する再生可能エネルギー証明書の発行、管理をBlockChainを用いて分散化させた方法について発表しました。前回のポスター発表の失敗を踏まえて発表原稿の準備に時間をかけました。また発表後質問を頂けました。しかし聞き取る事ができず、答える事ができませんでした。英語を聞き取ることは少しは自信があったのもあり、心残りがある終わり方になってしまいました。英語の訓練は今後継続的に行おうと決意しました。他の方の発表は現地時間でのタイムテーブルであったため全ては聞けませんでした。私のグループの方々は環境問題に向けて様々な技術を用いてアプローチを行なっていました。正直理解はできませんでしたが、いろいろな技術がたくさんの可能性を持つことを知る事ができました。
https://icict.co.uk/

佐藤優樹

国際研究集会 「The 6th International Symposium on Mobile Internet Security」における研究発表報告:佐藤優樹さん(山村・Fazekas 研究室)

The 6th International Symposium on Mobile Internet Security (Mobisec 2022)は2022年12月15日-17日の3日間、韓国の済州島の Jeju Oriental Hotelで開催されました。

1日目(12月13日)
秋田空港から羽田空港に向かい、そこで一泊しました。

2日目(12月14日)
羽田空港から、ソウルの金浦国際空港(キンポこくさいくうこう)に向かいそこから乗り換えて済州国際空港へ渡航しました。
15:55に出発し、22:00に到着しました。

済州国際空港

その後ホテルにチェックインしました。

3日目(12月15日)
朝に学会の会場に徒歩で向かい、参加しました。

学会感想:
印象に残った発表は Fang-Yie Leu 氏による「 Security Mechanisms for Data Transmission among B5G/6G Networks 」
でした。5Gを初めとする最新の通信規格に必要なセキュリティ要件についてや、通信に用いている暗号技術を知れました。
知識の無い自分でもある程度理解することができ内容は勿論、発表の方法についても学びを得ることができました。

学会会場学会の雰囲気鮑の炊き込みご飯とウニスープサムギョプサル

4日目(12月16日)
夕方のセッションで「Renewable Electricity Certificates using Smart meters and BlockChain」という題目でポスター発表をしました。初めての英語で発表ということもあり、とても緊張しました。

発表概略は以下です。
昨今、世界的に脱炭素に向けて、再生可能エネルギーの利用が進められており、ここで重要になってくるのが使用する電力が再生可能エネルギーであることを証明することです。しかしその証明に第三者機関が証明書を発行、認可しているのが現状です。ここで第三者機関が証書を利用する人のデータを流出させるような不正が行えてしまう問題点を指摘し、その解決のためにスマートメータとブロックチェーンを用いて再生可能エネルギーを証明する証書の発行及び検証、管理を行うモデルの提案をしました。

学会感想:
発表を行いました。発表原稿を見ながらの発表になり、ポスターを見にきてくれた方を気にすることができませんでした。発表を終えた後、韓国での僕の研究に関連する事例を教えていただきました。頂いた質問はどのように実装するかについてで、自分はそのような知識を持っておらず今後の研究に必要な知識を確認できました。印象に残った発表は Hoseok Kwon 氏の「 Blockchain Applied 5G Authentication and Key Agreement Evaluation 」です。5G通信に必要なデータの管理にブロックチェーンを用いたものでした。ブロックチェーンはさまざまな分野での応用が期待されているもので、その応用先を考えるためにはブロックチェーンだけではなく様々な知識をつける必要があると感じました。

ポスターセッション夜のバンケット

5日目(12月17日)
学会が午前中に終了し午後から夜にかけて済州を散策しました。済州は大きく分けて旧済州と新済州に別れており、午後は旧済州、夕方は新済州を散策しました。

学会感想:
印象に残った発表は ChangHyun Roh 氏による「 A Study on PLC Data Integrity Verification Using Private Blockchain 」でした。題目からは自分の研究との関連性を感じましたが、発表を聞いてみると実装のしやすさ等、全く違う着眼点で研究を行っており、ブロックチェーンについての新たな視点を知ることができました。
新済州太刀魚の煮込み学会会場付近の海

6日目(12月18日)
この日に帰国する予定でしたが雪のため済州からソウルの金浦国際空港への飛行機が遅れ、羽田空港行きの飛行機への乗り継ぎに失敗しました。遅延したフライトの待機時間にチケット等の変更を行い、結果この日はソウルのホテルで過ごしました。

ソウル駅ソウル市街地

7日目(12月)
夜のフライトで羽田に向かうため、それまでホテル周辺を散策しました。また帰国後東京のホテルで一泊しました。

祟礼門屋台のトッポギ

8日目(12月19日)
朝に東京から秋田に戻りました。

【感想】
学会ではセキュリティについての発表を聴講しました。特に5G、ブロックチェーンについての内容はどれも興味深いものでした。全ての発表を通して感じたのは皆さんの英語力の高さです。研究を行う上で英語力を上げる重要性を感じました。また自分の発表については実際に発表をすることで準備の足りなさを実感しました。実際に発表の練習をさらに行い、様々な人からの意見を得た上で発表する必要性を強く感じました。今回の学会でどのような発表がわかりやすいかを学べたのでそれを踏まえ、今後に活かしたいと思います。海外の発表はもちろん、渡航も初めてで全てにおいて緊張しましたが、大変貴重な経験ができました。今回の渡航で一番印象に残ったのは飛行機の乗り継ぎができなかったことです。トラブルが起きても落ち着いて情報を整理する重要性を学びました。本学会参加にあたり、研究室の先生や友人には多くのご協力をいただきました。本当にありがとうございました。

佐藤優樹さん(山村・Fazekas 研究室)が国際研究集会 「The 6th International Symposium on Mobile Internet Security」において発表をおこないました

山村・Fazekas 研究室の佐藤優樹さん(M2)が、2022年12月15, 16,17日に済州島(韓国)で開催された研究集会「The 6th International Symposium on Mobile Internet Security」にてブロックチェーンの再生可能電力証明書への応用に関する研究についてポスター発表を行いました。

基研研究会・iTHEMS研究会 2022「格子上の場の理論と連続空間上の場の理論」参加報告(理論物理学研究室 湯本純)

博士後期課程2年の湯本です。標記の研究会にて「グラフ理論と位相不変量に基づくdoublerの最大個数についての考察」というタイトルで口頭発表を行いました。

 当研究会は、格子上の場の理論に関する近年の理論的進展を主たるテーマとして、格子上の場の理論と連続時空上の場の理論の関係を理解することを目的に企画された研究会となります。開催日程は7/19-22の4日間で、対面で行われました。
https://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~lattice-qft2022/home.html

発表概要については以下の通りとなります。
 格子ゲージ理論において、ダブリング問題はNielsen・二宮のno-go定理により定式化されている。しかし、離散化された一般次元多様体上におけるfermion自由度(doubler)の最大個数は、このno-go定理では説明することができない。したがって、離散化された一般次元多様体上におけるdoublerの最大個数について言及する新たな定理の構成が必要不可欠となった。この新たな定理の構成に向けた議論として、今回の発表では、(1)グラフ理論から着想を得た新たな格子Dirac演算子の解析方法、及びdoublerの個数が格子Dirac演算子の退化次数であることを説明する。(2)位相不変量であるBetti数に着目した新たな定理の予想とその考察について議論していく。

今野咲彩さん、田口輝希さん、黄新昊さん、深浦晴輝さん(山村・Fazekas 研究室)が研究発表をおこないました

山村・Fazekas 研究室の今野咲彩さん(M2)、田口輝希さん(M1)、黄新昊さん(M1)、深浦晴輝さん(B4)が、2022年2月16,17,18日に京都大学数理解析研究所で開催された研究集会「論理・代数系・言語と計算機科学の周辺領域」にて研究発表を行いました。
それぞれの研究成果を発表し、他大学の研究者とともに意見交換を行いました。

今野咲彩さんは、「Left simple and left cancellative semigroups without idempotents」のタイトルで英語で発表を行いました。

発表の概略:
Left simpleでleft cancellative(right simpleかつright cancellative)な半群の構造はまだ明らかになっていないという事実を受け、その性質を持つ半群を構成しました。全射で任意の逆像の濃度が無限濃度となる写像を元とするidempotentを持たない半群を構成し、それがLeft simpleでleft cancellativeであることを発表しました。1932年にR.BaerとF.Leviが、単射の写像を元とするidempotentを持たない半群(Baer-Levi半群)を構成しており、それと同型であるかどうかの確認が現在直面している困難となっています。

田口輝希さんは、「Correspondence between down-up alternating permutations and increasing 1-2 trees」のタイトルで発表を行いました。

発表の概略:
encoding sequenceを用いたdown-up alternating permutationとincreasing 1-2 treeの対応関係の証明や具体例、アルゴリズムを、Euler number、Entringer number、Entringer familyとの関係を交えつつ紹介した。また、そこから発展するこれからの研究目標も紹介した。

黄新昊さんは、「Slightly Improved Dynamic Algorithm for LIS」のタイトルで発表を行いました。

発表の概略:
今回のRIMSで最長増加部分列に対する近似アルゴリズムをテーマに発表しました。LIS問題とDynamic Settingの定義から、既存の近似アルゴリズムと近似問題Extended Grid Packing問題を紹介し、新たな近似度が高い方法を導入しました。そして、再帰的データ構造を用いてLISの近似解を計算します。これからは、新しい方法についてのUpdate Timeなどを確認して、アルゴリズムを練り直します。

深浦晴輝さんは、「Diagrams over groups and small cancellation conditions」のタイトルで発表を行いました。

発表の概略:
発表の内容は、Ol’shanskii著, Geometry of Defining Relations in Groupsの最初の方をまとめたものである。最初に帰結の導出の可視化であるdiagramの例を挙げて定義を述べたあと、帰結とdiagram の対応を述べたvan Kampenの補題を紹介した。次に表示の制限であるスモールキャンセル条件を導入し、それがdiagramにどう作用するかを説明し、ある程度強い条件満たすときのdiagramの特徴を述べた定理の証明を簡単に紹介した。最後に群のword problemを紹介し、スモールキャンセル群のword problemを解くDehnのアルゴリズムを構成した。

参加・研究発表の感想:
今野咲彩
私は学会で数学の内容を発表したことは初めてで、研究者の方々に向かって発表するのはとても緊張しました。毎日の活動では現在直面している困難にばかり目を向けていましたが、発表を通して研究の出発点に目を向ける必要性を感じました。そもそもなぜLeft simpleでleft cancellativeな半群の構造は研究されてこなかったのか、構成したものは予想と照らしてどうだったのか、idempotentがあるとどうなるのかなどの質問を受けました。研究の土台や基礎の部分に目を向けて修士論文を書き上げたいと思いました。発表者の中で、自分が留学に行った際にお世話になった先生や、秋田に留学しに来ていた方もおり、研究集会の中で交流ができたことや、半群論に関する研究発表を聞いて理解できる部分があったことは嬉しかったです。
田口輝希
発表した感想としては、初めての研究発表、それもオンラインということで、スライドの準備や表現、時間の調整や発表練習もとても大変で本番も緊張したが、いい経験になった。発表時間に対し内容を詰め込みすぎてしまったので、次回の研究発表の際はその点に気を付けたい。他の発表者の講演を聞いた感想については、自分の理解できる内容、複雑な内容等様々だったが、全体を通して発表そのものの流れやスライドの作り方などの参考になる部分が多く、これからの発表で取り入れていきたいと思った。今回は日本語での発表になったが、英語での言い回しや表現を学び、次回は英語で発表ができるように努力したいと思う。
黄新昊
初めてRIMS共同研究に参加しましたので、論理・代数系の発表を伺うことができ、大変勉強になった。この発表を通して、限られた時間の中で自身の研究成果を他者に分かりやすく説明することの難しさを実感することができ、とても良い経験になったと思います。また、他の人の発表や質問からで自分にはない考えを得ることができたことも、見つかったことも大きな成果だったと思います。
今後ともこの貴重な場に参加できるよう研究に励み、自分の説明能力を上昇し、そして、様々な考えや意見をいただいたことが発表会での大きな収穫でありました。
深浦晴輝
今回の発表は自分にとって初めての学術発表であり、大変多くのことを学ばせていただきました。発表後、スライド内の図について質問を頂きました。図の制作には力を入れていたので、触れていただけて嬉しかったです。同じ本を読んだという方からは、より深い内容で補足のコメントを頂き、非常に勉強になりました。他の方の発表では、数名がword problemについて触れていました。自分が学んでいる内容が実際に有名なものであることが実感でき、全く異なるアプローチを知ることができて理解を深めることができました。今読んでいる本の内容を今後研究していく上で、大きなモチベーションとなりました。今回、このような貴重な体験をさせていただけたことを感謝しております。

「奥羽越素粒子研究会」参加報告(理論物理学研究室 湯本純)

標記の研究会にて、同研究室の湯川大地(博士前期課程2年)君と私、湯本(博士後期課程1年)が口頭発表を行いました。
今回は昨今の状況を踏まえ、2021/11/27-28にオンライン上での開催となりました。当研究会にて、湯川君は「基本表現と随伴表現を含む$R^{3} \times S^{1}$上の$SU(3)$ゲージ理論の閉じ込め相転移」、私は「グラフ理論に基づいた格子Dirac演算子の新たな解析法と$S^{4}$上における格子fermionの解析」というタイトルで発表しました。

研究会参加の所感【湯川君】

今回、初めて研究会で発表させていただきました。この研究会には昨年も参加させていただきましたが、その際には聴講のみでした。昨年は多くの方の講義や研究発表を受けて、様々な知見を得ることができました。
今年は、同世代の学生と研究発表を通じて関わることができたことで、昨年とは違った感想を持ちました。私が調べていることに関わる研究発表もあり、自分の専門について知見を深める機会になりました。同じような分野を学んでいる同期が学内にはいなかったため、発表を聞き、とても刺激を受けることができました。修士論文の作成に向けて、以前よりも前向きな姿勢で行っていこうと思います。

研究会参加の所感【湯本】

この度の研究会に於いては、今年度の前半期で発表していた内容(グラフ理論に基づく格子Dirac演算子の解析法)に加え、新たに得られた結果(4次元球面上の格子fermionの解析結果)も発表しました。質疑応答の際に、本研究の核心となる部分に関する質問や技術的な部分に関する質問を頂いたことで、改めて自身の研究を俯瞰し、横たわっている課題の根幹を再認識しました。さらに発表に際しての改善点を浮き彫りにすることができ、私にとって有意義な研究会となりました。

星魁人君(山村研究室・2020年3月修士課程修了)が論文「 Automata with One-way Jumping Mode」を発表しました

2020年2月に開催された研究集会「代数系、論理、言語と計算機科学の周辺Ⅱ」において講演した内容をまとめたもので、星君のこれまでの研究をまとめた内容です。

Automata with One-way Jumping Mode
Kaito Hoshi, Akihiro Yamamura, Szilard Zsolt Fazekas
数理解析研究所講究録 2188巻 (2021) pp. 125-130
https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/2188-19.pdf

星魁人君(山村研究室・2020年3月修士課程修了)が関わった研究論文が
Natural Computing に掲載されました

国際研究集会「The 25th International Workshop on Cellular Automata and Discrete Complex Systems (AUTOMATA 2019) 」において発表した内容をさらに発展させてジャンピングモードがオートマトンに与える能力について解析しました。

The effect of jumping modes on various automata models
Fazekas S.Z., Hoshi K., Yamamura A.
Natural Computing (2021)
https://link.springer.com/article/10.1007/s11047-021-09844-4

星魁人君(山村研究室・2020年3月修士課程修了)が関わった研究論文が
Theoretical Computer Science に掲載されました

国際研究集会「The Fourteenth International Frontiers of Algorithmics Workshop (FAW 2020)」において発表した内容をさらに発展させてジャンピングモードを持つ2方向オートマトンの計算能力について解析しました。

Two-way deterministic automata with jumping mode
Fazekas S.Z., Hoshi K., Yamamura A.
Theoretical Computer Science 864 92 – 102 (2021)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304397521001079

国際研究集会「The Fourteenth International Frontiers of Algorithmics Workshop (FAW 2020)」

国際研究集会「The Fourteenth International Frontiers of Algorithmics Workshop (FAW 2020)」(10/19-21, Haikou Hainan)において、星魁人君(山村研究室・2020年3月修士課程修了)が貢献した研究の発表を行いました。

「Two-way jumping automata 」というタイトルで2方向にテープヘッドがジャンプを許して動くオートマトンの言語受理能力とそのクラスの性質について国際研究集会 FAW2020(コロナウイルス感染症の影響でオンライン研究集会として開催)で研究発表を行いました。アルゴリズムに関する研究者が集まりインターネットを通して活発に討議を行いました。
修士課程を修了した星君は、オートマトンと形式言語理論に関する研究を実施し今回の研究発表に貢献しました。

研究成果は以下の論文に掲載されました。
Two-Way Jumping Automata,
Szilard Zsolt Fazekas, Kaito Hoshi, Akihiro Yamamura,
Frontiers in Algorithmics,
Lecture Notes in Computer Science,
Springer-Verlag Vol. 12340 pp. 108 – 120 (2020)

湯本純君(理論物理学研究室三角グループ)の論文がPhysical Review Dに掲載されました

湯本純君と指導教員三角樹弘の共著論文「Varieties and properties of central-branch Wilson fermions」がアメリカ物理学会発行の学術誌Physical Review D Vol.102, No.03, 034516に掲載されました.

https://journals.aps.org/prd/abstract/10.1103/PhysRevD.102.034516

この論文では,場の量子論の数学的定義を与えるとともに数値的解析法を提供する「格子場の理論」について研究を行い,Central-branch法と呼ばれる新しい定式化の特性と数値計算への有効性を明らかにしました.
Physical Review Dは素粒子論・高エネルギー物理分野で最も権威ある学術誌の一つです.

湯本純君は関係する格子場の理論の研究成果について日本物理学会でも以下の講演を行っています.
日本物理学会第75回年次大会(2020)講演番号:17pH31-12

国際研究集会「The 15th International Computer Science Symposium in Russia (CSR 2020)」

国際研究集会「The 15th International Computer Science Symposium in Russia (CSR 2020)」(6/29-7/3, Ural Federal University, Ekaterinburg, Russia)において、加瀬力君(山村研究室・博士後期課程1年)が貢献した研究の発表を行いました。

「Groupoid Action and Rearrangement Problem of Bicolor Arrays by Prefix Reversals」というタイトルで亜群(Groupoid)と呼ばれる代数系が自然現象の偏作用や偏対称性を表現することに適していることを示す実例に関して、6月末に始まった国際研究集会CSR 2020(コロナウイルス感染症の影響でオンライン研究集会として開催)で研究発表を行いました。代数学、離散数学、コンピュータサイエンスを結びつける研究としてインターネットを通して活発に討議を行いました。
博士後期課程1年の加瀬君は、加瀬君は博士後期課程で代数学、離散数学、コンピュータサイエンスに関する研究を進めており、今回の研究では再配置可能性を分類することに貢献しました。

研究成果は以下の論文に掲載されました。
Groupoid Action and Rearrangement Problem of Bicolor Arrays by Prefix Reversal,
Akihiro Yamamura, Riki Kase, Tanya Jajcayova,
Computer Science – Theory and Applications,
Lecture Notes in Computer Science,
Springer-Verlag Vol. 12159 pp. 419-431 (2020)

RIMSの参加報告

2020年2月17-19に、京都大学数理解析研究所にて研究集会「代数系、論理、言語と計算機科学の周辺II」が開催されました。
「Automata with One-way Jumping Modes」というタイトルで、山村-Fazekas-新屋研究室の星魁人君(M2)が30分間の発表を行いました。

感想:
文字列を非順序に読み取るOne-way jumping finite automataの読み方を一般のオートマトンに適用したモデルについて発表しました。自分の研究に興味を持ってくださった研究者がいたのが非常に嬉しかったです。
他の方の発表では、代数学・論理学・計算機科学だけで無く、暗号論や機械学習など多岐にわたる研究発表がありました。全てを理解することはできませんでしたが、研究の過程で学んだことに関するものもあったので参考になる部分もありました。


 

Enhancement of Automata with Jumping Modes (ジャンピングモードによるオートマトンの強化)

 山村研究室の学生、星魁人君がメキシコのグアダラハラ大学にて開催された国際研究集会「The 25th International Workshop on Cellular Automata and Discrete Complex Systems (AUTOMATA 2019) 」において研究発表を行いました;Enhancement of Automata with Jumping Modes,
Szilard Zsolt Fazekas, Kaito Hoshi, Akihiro Yamamura,
AUTOMATA 2019, Lecture Notes in Computer Science,
Springer-Verlag Vol.11525 pp.62-76 (2019)

 オートマトンの研究は計算機科学基礎に分類され、離散数学の一つに当たります。オートマトンはコンピューターを数学的にモデル化したもので、入力文字列を順番に読んでいき有限状態を変化させます。入力文字列の組合せ論的性質を調べることが研究の大きな目的の一つとなっています。
 2012年に、有限オートマトンの入力文字列の読み方を従来のものから変化させたジャンピング有限オートマトンがA.Meduna and P.Zemek [1]により提案されました。
Meduna等は文字の読み方を変えることによって、一般の有限オートマトンと性能や能力が変化することを発見しました。
ジャンピング有限オートマトンの概念の提案以降、様々な研究者によってその拡張や研究がなされています。
 2016年には、千川原寛之氏(山村研究室・平成27年3月修士修了)がジャンピング有限オートマトンとは別の入力文字列の読み方を持った一方向ジャンピング有限オートマトンについて研究し、その結果を研究雑誌[2]において発表しました。
千川原氏は、一方向ジャンピング有限オートマトンとジャンピング有限オートマトンの性能や能力が異なることを示し、関連するポンピング補題や閉包性について解析しました。
 千川原氏等の研究成果を発展させ、星君はジャンピング有限オートマトンの研究を進め、一方向にテープヘッドが移動して入力文字列を読むジャンプモードを定義し、有限オートマトンとプッシュダウンオートマトンを含むオートマトン一般がジャンプモードの場合と従来のモードの場合で性能や能力にどのような変化が起こるのか研究しました。星君の研究は、有限オートマトンのみならずプッシュダウンオートマトンのようなさらに一般のコンピューターの数学的モデル化にジャンピングモードを拡張し、受理される語の数学的特徴を調べたことが特徴になっています。

関連文献
[1] A. Meduna and P. Zemek: Jumping finite automata, International Journal of Foundations of Computer Science, Vol.23, No.7, (2012) 1555-1578
[2] H.Chigahara, S.Z.Fazekas, and A.Yamamura: One-way jumping finite automata, International Journal of Foundations of Computer Science, Vol. 27, No. 3, (2016) 391–405

渡邊悠介君(山村研究室・2016年3月修士課程修了)と津谷航平君(山村研究室・2017年3月修士課程修了)が研究論文誌に発表しました

渡邊悠介君(山村研究室・2016年3月修士課程修了)と津谷航平君(山村研究室・2017年3月修士課程修了)は大学院において人工知能(AI)の一つである群知能(メタヒューリスティック)の研究を行い、研究論文誌に発表しました。高い評価を受けており多くの世界の研究者から参照されています。群知能は、自然界における生物の群れ(アリ、ハチ、ホタル、鳥、細菌など)のふるまいの原理を様々な最適化問題や自動運転などに活用する研究が進んでいます。

渡邊君はミツバチの群れの採餌行動をモデルとして構成されたABCアルゴリズムをNP完全問題として知られる「容量制約なし施設配置問題」に応用する研究を論文にまとめました。
Fitness Function in ABC Algorithm for Uncapacitated Facility Location Problem,
Yusuke Watanabe, Mayumi Takaya, Akihiro Yamamura,
ICT-EurAsia/CONFENIS 2015, LNCS 9357 (2015) 129 – 138
https://www.springerprofessional.de/en/fitness-function-in-abc-algorithm-for-uncapacitated-facility-loc/2541418
に発表しました。

津谷君はホタルの発光現象をもとにしたホタルのアルゴリズムを「容量制約なし施設配置問題」に応用する研究を論文にまとめました。
Application of the firefly algorithm to the uncapacitated facility location problem,
Kohei Tsuya, Mayumi Takaya, Akihiro Yamamura,
Journal of Intelligent & Fuzzy Systems 32 ( 4 ) (2017) 3201 – 3208
https://content.iospress.com/articles/journal-of-intelligent-and-fuzzy-systems/ifs169263

Knight-Amazons(平成27年度博士前期課程修了 加藤光くん)

 山村研究室の学生、加藤光くんが修士論文で取り組んだKnight-Amazonsの成果を以下のページで公開しています。

http://knightamazons.ie.akita-u.ac.jp

Knight-Amazonsは、The game of the Amazonsのルールに変更を加えたオリジナルゲームです。
Knight-Amazonsが人間にとって面白いゲームであるかを調査することを目的として、コンピュータプレイヤーとの対戦、オンライン対戦機能があります。ぜひ訪れてみてください。

以下は修士論文の序論になります。

 モンテカルロ法は現在与えられた状況から得られる平均利得が最も高くなるような手を選択するアルゴリズムであり,ゲーム AI 分野では 2000 年代以降特に囲碁 AI において利用され,高い成果を挙げる探索手法として注目されている.
一方 Amazon は二人零和確定完全情報ゲームに含まれる組合せゲームの一種であり,囲碁における地の多寡を競う要素と,チェスや将棋に見られる駒の移動の二つの要素を併せ持つ([1]を参照) . Amazon は着手可能手の総数が他のゲームに比べ非常に数が多く,将棋類のように駒別の価値という概念がないため囲碁等と同様,評価関数を作成することが難しいことが知られており[2],静的評価関数及びMini-Max 原理に基づいた従来的 AI 手法では最適着手を導き出すことが困難である.
通常の Amazon のルールでは 10 × 10 の盤に二人のプレイヤーがおのおの 4 つの駒を所定の位置に配置して対戦するが,これを一般化し n × n の盤に二人のプレイヤーがおのおの m 個の駒を任意の位置に配置して対戦するゲームを本論文では一般化 Amazon と定義する.
本論文では,モンテカルロ木探索のアルゴリズムである UCT を用いて,一般化 Amazon 及びその派生ゲームである一般化制限 Knight-Amazon における最適着手を求めるアルゴリズムの作成及び評価を行い,先手・後手の有利不利を検証する.

[1] J. P. Neto and J. N. Silva , Mathematical Games: Abstract Games , Dover Publications ,(2013)
[2] J.Kloetzer , Monte-Carlo Techniques: Applications to the Game of the Amazons ,博士論文,北陸先端科学技術大学院大学, (2010) http://hdl.handle.net/10119/8867

藤原美早紀さん(山村研究室・2012年3月卒業)が研究論文誌に発表しました

藤原美早紀さん(山村研究室・2012年3月卒業)はチェス盤において、クイーン(飛車と角を合わせたものに相当)やルーク(飛車に相当)を、お互い当たりにならないように配置する方法を計算機で発見するエイトクイーン問題を、立方体の表面に拡張する研究を実施し、その配置数を正確に求める研究を行い研究論文誌に発表しました。
配置数を求めるためには本質的に同じ配置を二重にカウントしないように、対称性を明確にしなければなりません。藤原さんの研究では、代数学の群論の概念である正8面体群の作用に関してCauchi-Frobeniusの定理を応用して計算機実験を行なって配置数を求めました。
藤原さんの研究は高く評価されていて「2012年情報処理学会推奨卒業論文」と「情報処理学会 第74回全国大会 学生奨励賞」を受賞しています。

立方体上のn-クイーン問題およびn-ルーク問題
藤原美早紀、山村明弘
情報処理学会論文誌 53 ( 6 ) (2012) 1592 – 1601
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=82600&file_id=1&file_no=1